夢を叶える青いバラを食卓に

夢を叶える青いバラを食卓に

真っ白のキャンバスに、ふわりと咲く濃青のバラ。その姿ははかなげで、決して派手ではないのに、一枚あるだけで華やいだ食卓に。磁器の最高峰・大倉陶園を代表する「ブルーローズ」シリーズは、背後にいくつものストーリーをたたえます。

 

存在しえない憧れの花

存在しえないもの。実現不可能なもの。

「青いバラ」にはかつて、そんな花言葉があったといいます。アジサイ、朝顔、アヤメやリンドウ……。自然界に青い花は数多く見つかりますが、バラには青色は存在しないとされてきたからです。

これまでに発掘された化石から、野生のバラは少なくとも3万5千万年前には北半球の各地に分布したとされます。人類の誕生は約500万年前ですから、人類よりはるか長い時間をバラは生きています。それにも関わらず、青色は存在しない。バラには元々、青の色素が存在しないからです。そんなことから、世界じゅうの愛好家たちにとって青いバラは常に憧憬の的であり、望んでも手に入らないものの象徴でもありました。

 

世界中が追い求めるブルーローズ

なしえぬものの存在が、その道を追究する人々を熱中させるのはどんな世界でも同じこと。あまたの数学者たちが未解決問題に挑んできたのと同じく、多くの栽培家・育種家たちが、「我こそがブルーローズの生みの親に」と青いバラの作出を目指してきました。

競争が特に熾烈になったのは20世紀の後半。「スターリング・シルバー」「ブルームーン」(1957年)、「ケルナーカーニバル」(1964年)を出し、「シャルル・ド・ゴール」(1974年)など、多くの青色に近いバラの品種が生み出されます。

基本的にはこの品種改良は、ある品種から赤色を抜いていき、「青」というよりは「青に近い色」にしていく手法です。競争の流れを大きく変えたのは、バイオテクノロジーに携わるある日本人研究者の手。日本とオーストラリアの共同研究チームが、パンジーの青色色素を使って、世界で初めて、青色の色素が100%近く蓄積した青いバラを生み出したのです。この研究が結実したバラ「アプローズ」の花言葉は「夢かなう」。憧れの青いバラは、今では夢や希望の実現を背負う存在となりました。

 

世界に冠たる磁器をつくる。大倉父子の夢

翻って大倉陶園の「ブルーローズ」シリーズ。純白の磁器に陰影のある青いバラが咲くこのシリーズが発表されたのは、現実にはまだブルーローズが存在しなかった1928年のことです。その話をする前に、まずは大倉陶園のことに触れましょう。

ヨーロッパの名窯に匹敵する、世界指折りの高級磁器ブランドとして知られる大倉陶園の設立は、大正時代半ばの1919年。創業者の大倉孫兵衛(まごべえ)、和親(かずちか)父子は、すでに日本陶器合名会社(現在のノリタケカンパニーリミテド)・東洋陶器(現在のTOTO)・日本碍子(日本ガイシ)を設立し、 日本の近代セラミックス産業において不動の地位を築いていました。そこに甘んじることなく、さらに高品質な西洋陶磁器を製造することを夢見た孫兵衛と和親。私財を投じて大倉陶園を設立し、すぐに白磁の開発に着手します。

・美観のあること(装飾物ではない)
・清浄なこと(汚れっぽくてはいけない)
・使い途にあっていること(日常生活に役立つものであること)
・堅固なこと(強いうつわであること)

二人の理想の白磁とは、そんな条件を満たすものでした。現在も大倉陶園の白磁を特徴づける肌の白さとキメの細かさ、そして磁器の硬さは、すべて創業当時に掲げたこの理想を追い求めての結果です。最高級の「カオリン」をふんだんに使った原料、そして1460℃という世界に類を見ない高温での焼成。手間と時間、技術を擁する技法で、どこまでも白く、硬く締まった磁器を実現しています。

 

白磁のうえに咲く、この世にひとつの青いバラ

「ブルーローズ」シリーズは、自慢の硬く白いキャンバスに、青いバラが踊るシリーズです。バラたちがふっと自然の中に現れた植物と見まごうような陰影を帯びているのが、このシリーズの大きな魅力。これは大倉陶園独自の「岡染め」技法によるもの。染付けは通常、釉薬の下に絵付けを行いますが、「岡染め」の場合、釉薬をかけて本焼きをした白生地の上にコバルトで絵付けを行います。これを本焼きと同じ1460度の高温で再焼成することで、絵具が釉薬の中に溶け込んで、通常とは全く質の異なる、柔らかさと深みのある文様となるのです。

 

大倉陶園を代表する「ブルーローズ」を日常使いで

「手と手」にはこの「ブルーローズ」シリーズから、大倉陶園創立100周年を記念した新しいシリーズと、「ブルーローズ ジャネット」の、プレートやカップ&ソーサー、マグがラインナップしています。

紺青色とゴールドの縁取りで、大倉陶園の技術を集結した創立100周年シリーズは、ハレの食卓に。電子レンジ対応の「ブルーローズ ジャネット」は普段の食卓に……。そんな使い分けもよさそうです。

理想の白磁を追い求め続ける大倉陶園が、現実に先駆けて「ブルーローズ」シリーズを誕生させたことは、今となってはとても運命的なこと。憧れ続け、挑み続けることで、いつか不可能は可能になる。テーブルの一皿が、あなたの一日をそっと後押しします。夕闇ににじんでいく青いバラ、朝陽に輝く青いバラ……。野に咲くバラを愛でるように、「ブルーローズ」シリーズを、あなたの食卓で愛でてみませんか。

 

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