お茶の旨みを掘り下げる

お茶の旨みを掘り下げる

「お茶でほっとひと息つく」のは、今も昔も変わらない、やすらぎの時間。どれだけ日々が慌ただしくても、一杯のお茶でくつろぐちょっとした時間があれば、救われる気がしますよね。ではなぜ、お茶を飲んでほっとするのか、その理由を知っていますか? そこに大きく関係しているのは、日本の食卓を彩るキホンのキ=“旨み”。私たちの毎日の料理に欠かせない旨みは、じつは日本茶にもたくさん詰まっているのです。お茶の旨みにまつわる秘密を知れば、一服の時間はもっと充実したものになる。日本茶の栄養素とその効果を掘り下げてみましょう。

 

お茶の種類ごとの旨みと栄養の内側を知る



お茶の旨みを深掘りしていく前にまず知っておきたいのは、煎茶、ほうじ茶、烏龍茶、紅茶など、茶葉で淹れるお茶の原料は全て同じであること。どれも「チャノキ」と呼ばれる植物の葉を使用し、収穫後の加工方法によって、それぞれの香りや味わいがつくり出されます。お茶によって、甘み、苦み、渋みといった味の要素は千差万別。これらの複雑な味わいを支えるのが、何を隠そう旨みです。

煎茶、烏龍茶、紅茶を分けているのは、茶葉の酸化度。茶葉に含まれる酸化酵素の働きによって茶葉の色が緑から赤茶色に変化する「発酵」の度合いで、色や味わいはがらりと変わっていきます。一般的に「発酵」とは微生物の働きによるものですが、お茶の「発酵」には微生物は関わっていません。しかし驚くほどに味わいが変化することから、お茶の世界では古くからこの酸化現象のことを「発酵」と呼んでいます。

煎茶は「発酵」を行わない「不発酵茶」、最大限まで「発酵」を経た紅茶は「発酵茶」、その中間に位置する烏龍茶は「半発酵茶」。煎茶などの不発酵茶を焙煎したものがほうじ茶になります。

同じ茶葉ですが、味わいはもちろん違えば、含まれている栄養素もさまざま。それぞれの加工方法によってどのような成分がつくりだされているのでしょうか。

 

煎茶は「旨み」のお茶



煎茶をはじめとした不発酵茶特有のコクや奥深さを生み出すのは、茶葉に含まれるアミノ酸。旨み成分としてよく知られるグルタミン酸や、栄養剤としても使われているアルギニン、アスパラギン酸など、さまざまな種類のアミノ酸が詰まっています。

茶葉に含まれるアミノ酸のなかでも約半分を占めるのが「テアニン」という成分です。1950年に玉露から発見されたこのアミノ酸は、他の植物がほとんど持たない、チャノキ特有のもの。特に一番茶に豊富に含まれ、煎茶の深い旨みを生み出すもとになっています。

 

ほうじ茶は「香り」のお茶

茶葉を高温で焙煎することでできるほうじ茶。煎茶同様アミノ酸を多く含む茶葉で、旨みもたっぷりと感じられますが、なによりの特徴はその高い香り。茶葉に含まれるアミノ酸は、高温で加熱することで「ピラジン」という香り成分に変化し、ほうじ茶特有の焙煎香を生み出します。

この成分は焼き菓子をはじめ、さまざまな加熱食品にも見られ、「おいしい香り」をつくる代名詞。その元となるアミノ酸が豊富なほうじ茶には特に多く含まれ、香ばしさを高める大事な要素になっているというわけです。

 

烏龍茶と紅茶は「渋み」のお茶



煎茶やほうじ茶と同じ茶葉からできる烏龍茶や紅茶。テアニンや他のアミノ酸も含まれていますが、こちらは旨みというよりは濃厚な渋みが特徴。その理由は、「発酵」を経ることで生まれるポリフェノールです。テアフラビンやテアルビジンといった「発酵」した茶葉特有のポリフェノールが、紅茶や烏龍茶の渋みや赤みのある色をつくりだしています。

 

茶葉本来の旨みを感じられる、白玄堂の有機茶



一般的に、茶葉は日光を浴びる量が少ない方が、旨みや甘みが強いお茶になるとされています。そのワケは、旨み成分のテアニンが日光によってカテキンへと変化して、苦みが強いお茶になるから。より旨みのあるお茶をつくるため、チャノキに布を被せて日光を遮る「被せ(かぶせ)」と呼ばれる製法が広く浸透していますが、これはのびのびと育つ茶葉にストレスを与えてしまいます。

一方で宮崎県の茶店〈白玄堂〉を営む茶師・白尾尚美さんが選りすぐった茶葉は、被せを行わない製法で育てられ、お茶本来の旨みが楽しめるのが魅力です。300年前に行われていたこの製法を採用しているのは、宮崎県で100年以上続く日本茶農園の河野製茶。派手な旨みや甘みこそないものの、体の芯にすーっと入ってくる滋味深さは格別。毎日のリラックスタイムに淹れたい優しい風味の有機茶です。



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茶葉の旨みがやすらぎの時間と健康な身体をつくる

茶葉特有のアミノ酸、テアニンには、旨みをつくるだけではなくリラックス効果もあるようです。脳の神経細胞を保護する働きで、ストレスや疲労が軽減することがわかっています。また、睡眠の質を高める作用もあり、就寝前に一杯飲むと、寝つきや目覚めがよくなると言われます。

先述したほうじ茶に多く含まれる香り成分、ピラジンにも、血流を良くしたり、脳をリラックス効果もあることがわかっています。「お茶でひと息つくとホッとする」とするという、あのひとときをつくり出すのは、テアニンやピラジンといった、癒しをもたらす栄養素たちというわけです。

また、烏龍茶や紅茶など発酵茶葉が持つポリフェノールには、ダイエット効果と強い抗菌作用があると言われています。毎日の食事と合わせて飲むことで、脂肪や糖の吸収を抑えるほか、腸内の悪玉菌の減少や、風邪やインフルエンザの予防も期待できるそう。

お茶の豊かな風味をつくる栄養素の数々。その裏側を掘り進めると、味わいだけではないさまざまな効果を秘めていることがわかります。

 

旨みをより楽しむ水出し茶

お茶の旨みを決めるのは、茶葉の発酵具合や加工方法だけにとどまりません。最終的な決め手となるのは、お茶の淹れ方。実は淹れる温度によって、抽出される成分も変わってくるのです。

温度によって大きく変わるのは、カテキンやカフェインなどの苦み成分。低温では抽出量が少ない反面、60℃以上になると抽出量がグンと増えていきます。一方で、テアニンをはじめとするアミノ酸は、低温でもしっかりと抽出されます。

つまり、より深い旨みを楽しみたいならば、水出しがベストというわけ。カフェインの量も抑えられるので、水出し茶は苦みが控えめ。寝る前の一杯にもぴったりです。お湯に比べて時間がかかる分、しっかりと染み出した旨みはひとしお。日本茶でしか味わえない旨みをたっぷりと感じられる淹れ方です。

時間のかかる水出しも、NODOKAの日本茶パウダーならあっという間



高品質な国産日本茶を海外に届けるNY生まれの日本茶ブランド〈NODOKA〉は、オーガニックな茶葉を丁寧にすりつぶした、パウダー状の日本茶。無農薬有機栽培にこだわる静岡県の茶農家で採れた茶葉は、そのまま溶かして飲めるほど安心なお茶です。お湯はもちろん、冷たい水でもしっかりと溶け込むから、時間のない朝の一杯や、突然の来客へのお茶出しにはもってこい。涼しげなグラスに氷をころんと浮かべて飲みたい、爽やかな日本茶です。

普段何気なく飲んでいる日本茶。
その奥深い旨みと癒しの効果こそ、古くから日常の飲み物として親しまれてきた理由なのかもしれません。



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