涼を感じる夏酒を、日本酒グラスで飲み比べる

涼を感じる夏酒を、日本酒グラスで飲み比べる

溶けるような暑さが続く日本の夏。喉越しの良いビールやレモンサワーもいいけれど、食事に合わせるなら「夏酒」もおすすめ。日本酒の世界ですっかり定着した感のある「夏酒」。各蔵元から、いかにも爽やかな味を思わせる涼しげなボトルの銘柄が登場しています。

お酒の香りや味わいは、酒器によってがらりと変わります。日本酒の旨みをたっぷり感じられるものから、爽快な味わいを生むものまで、どんな酒器を選べばいいのでしょう? バラエティ豊かに酒器をラインナップする木本硝子で、夏酒をよりおいしく飲む冷やし方や、味わいの変化を楽しめるグラスを学びます。

夏の日本酒「夏酒」とは?

数千年の歴史を持つ日本酒ですが、冷やして飲むようになったのは、その歴史からみたらごく最近。常温で飲む「冷や」か温める「燗」が一般的だったところへ、冷蔵庫の普及とともにキリリと冷やして飲む「冷酒」が生まれました。

さらに、今や夏のお酒の定番となりつつある「夏酒」の誕生 は2007年。暑い季節にも爽快に飲んでもらえるよう、各蔵が夏用の日本酒をつくり始めたのがきっかけとされます。

夏酒に明確な定義はなく、大吟醸や生原酒、どぶろくなど種類はさまざま。味わいも千差万別ですが、共通しているのは「夏においしい日本酒」であること。さわやかな香り、ほどよい酸味、キレの良い後味など、冷やすことでより味わいが引き立つ酒質に仕上がっています。

「ワインがグラスによって香りや味わいが変化するのと同じように、日本酒もグラスの形で味わいが大きく変化します。その違いを実感してほしいですね」と話すのは、木本硝子の3代目、木本誠一さん。木本硝子は、90年以上の歴史を持つ東京のガラス器卸店。グラスによる違いを知る前に、温度によるお酒の味わいの変化をまずは押さえましょう!

温度の違いで、夏酒の味わいを自在に変化させる

日本酒はとても繊細なお酒。ひとくちに「冷やして飲む」といっても、わずかな温度の違いによって、香りや味わいは大きく変化します。一般的に日本酒は温度が低くなるほど、香りが抑えられてクリアな味わいに。冷やす温度を変えてみたら、より好みの味わいの夏酒に出会えるはず。冷やし方の違いによる味わいを3つ、まずはご紹介します。

まろやかな旨みを感じる「涼冷え」

夏酒のふくよかな味わいを引き出す「涼冷え(すずびえ)」。冷蔵庫から出して10分ほど置いた15℃前後の状態を指します。香りや風味はしっかりと感じられるのに、口当たりは軽快。ボトルを氷水に浸けておくことで、室温で温まりすぎず、長い時間「涼冷え」を楽しむことができます。

上品な香りが広がる「花冷え」

夏酒のより清涼感のある風味を感じるには、10℃前後に冷やした「花冷え(はなびえ)」がおすすめ。涼冷えに比べると、香りは少し控えめで、よりクリアな口当たり。時間が経つにつれて香りや味わいが変化がするのも「花冷え」の魅力の一つです。

ドライな清涼感が楽しめる「雪冷え」

キリッとドライな口当たりが好きな場合、5℃に冷やした「雪冷え(ゆきびえ)」を。香りを抑えた爽快な飲み口は、ギラギラと暑い日の夕暮れなど、喉越しよく一杯、におすすめです。お酒本来の味わいまで影を潜めてしまわないよう、冷やし過ぎないのがコツ。グラスも冷やすことで、より清涼感溢れる味わいが広がります。

グラスでも変わる夏酒の味わい

ではいよいよグラスの話。温度はもちろん、器のかたちによってもお酒の味には大きく違いが生まれます。その違いを実感できるのが、〈木本硝子〉の「酒グラスセレクション」。

左から「es Stem01〈華〉」、「es Slim01〈爽〉」、「Marlene XANA〈雅〉」、「es Rock 01〈醇〉」、「Mai3 スモール<和>」と、ユニークな形をした5つのグラスセットは、どれも日本酒を飲むために設計されています。

「夏酒と聞くと、スッキリとした味や華やかな香りというイメージがありますが、グラスを変えるだけで味も驚くほど変化します。好みの飲み方や食事に合わせて、グラスを選ぶのがベストです」(木本さん)

「酒グラスセレクション」の味わいの違いを生み出しているのは、グラスの曲線美。口元の広がりや、フィルムの膨らみによって、同じ日本酒でも香りの立ち方や口当たりが驚くほど変化。緻密な設計によって、その変化を生み出しています。では、5つのグラスがそれぞれどのような味わいをつくり出すか、1つずつ紹介していきましょう。

優雅なフォルムが、夏酒の香りを引き立たせる「es Stem01〈華〉」

香りは日本酒の旨みを大きく左右する要素。チューリップのような膨らみのあるフォルムが美しい「es Stem01〈華〉」は、日本酒の香りをいっぱいに感じられるグラスです。

「口元にかけてくびれた曲線は、口を当てた時のフィット感が抜群。飲み口も広く、グラスのなかに貯まった香りを鼻でしっかりと感じられます。口に含んだ時、舌全体にゆっくりと広がる旨みは名前の通り「華やか」。香り高い夏酒にふさわしい、日本酒の吟醸香を堪能できる一品です」(木本さん)

さらりと喉越し良く夏酒を嗜む「es Slim01〈爽〉」

しっかり冷えた夏酒を爽快に楽しむなら、スリムなフォルムが印象的な「es Slim01〈爽〉」がおすすめ。食前酒や、さっぱりした料理のペアリングなど、喉越し良く夏酒を楽しみたい時に使いたいグラスです。

「狭い口径と細長い形状は、自然と顎を上げて飲むように設計されたもの。傾きがあることで、酒が舌の上をさらりと流れ、より軽やかな口当たりになります」(木本さん)

ハレの日の夏酒に合わせたい「Marlene XANA〈雅〉」

杯を思わせる優美なかたちが印象的な「Marlene XANA〈雅〉」は、ドイツ人デザイナーによって設計されたグラス。夏酒と合わせれば、華やかな夏の食卓が演出できます。

「口径が広く、ゆっくり舌全体に味わいが広がるため、苦味や酸味など日本酒の持つ豊かな味わいを感じることができるのがこの〈雅〉。フォルムも華やかなので、夏休みの家族や友人とのホームパーティなど、特別な日には活躍すること間違いなしです」(木本さん)

夏酒のふくよかな旨みを堪能する「es Rock 01<醇>」

無濾過生原酒や、どぶろくなど力強い味わいの銘柄も揃う夏酒。米由来のたっぷりとした旨みを味わうには、「es Rock 01<醇>」がおすすめ。グラスを冷蔵庫でしっかり冷やせば、豊かな風味と爽快感が同時に楽しめます

「丸みのある底とゆったりとしたかたちによって、グラスの中に香りが立ち込める設計になっています。高さもそれほどなく、口径もやや広めなので、濃厚な日本酒をちびちびと飲み進める時におすすめです」(木本さん)

夏酒をあらゆるシーンで楽しむ「Mai3 スモール<和>」

夏酒を買ったけれど、どんなグラスで飲めばいいかわからない……という人におすすめなのが、「Mai3 スモール<和>」。日本酒を良いグラスで気軽に楽しんでもらいたいという思いから生まれた、バランスの良いデザインが魅力です。

「ころんと愛嬌のあるかたちと手に収まるサイズは、どんな食事の場にもすんなりと馴染むもの。女子会から普段の食事まで、気軽に夏酒を楽しんでもらえるグラスです」(木本さん) 

 

 

1本の夏酒を、温度とグラスを変えて飲み比べる

細やかなデザインの違いで味わいの変化を生む「酒グラスセレクション」。とはいえ「本当にグラスで味が変わるの……?」と思ってしまうのが正直なところ。「グラスごとの違いを確かめるには、飲んでみるのが一番」と木本さん。実際に大吟醸の夏酒を5種類のグラスで飲み比べてみたところ、その違いは想像以上にはっきりと感じられました!

最も清涼感のある味わいになったのが「es Slim01〈爽〉」。グラスに口を当てると、夏酒の爽やかな吟醸香がすーっと鼻を抜けていきます。僕ならこれは、暑い夏の一杯に、雪冷えまでしっかり冷やした夏酒に合わせます。一方で同じ夏酒を「es Stem01〈華〉」で試してみると、驚くほど味わいが変化。一口含むと、芳醇な吟醸香が口の中に広がりました。

あまりの違いっぷりに、同じ銘柄とは信じがたいほど。まずはぜひ、一本の夏酒で飲み比べてみてください。グラスの特徴をしっかりと把握したら、今度はお酒の温度を変えてみる。そうやって自分にとっての究極の味わいを探せたら、家飲みの醍醐味ですね。

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木本硝子の片口で夏酒をより上品に

冷蔵保管が必要な銘柄も多い夏酒は、ボトルのまま常温で置いておくと、香りや味わいの劣化にも繋がることも。片口を使えば、夏酒の味わいを損なうことなく、常にベストな味わいを楽しむことができます。木本硝子の「es Katakuchi」は見た目の美しさもさることながら、使いやすさも抜群。繊細な口元の返しによって、一杯ずつ丁寧に注ぐことができます。ボトルから片口に移すことで、酒が空気に触れ、香りも一層華やかに。日本酒好きなら、グラスと揃えておきたい一品です。

温度の違いにうつわの違い。味わいや香りを自在に操ることで、「夏酒」の可能性は格段に広がりそう。お好みの組み合わせを見つけて、シーンや食事に合わせてみてください。

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